ニコニコ動画のサービスは「視聴者」側における利便性・訴求性について語られることが多い

ニコニコ動画が擬似同期型アーキテクチャだということはよく指摘されることです。
実際、同時に動画を視聴しているわけではなくても、
動画のタイムラインにそってコメントを投稿できる機能が実装されていることによって、
動画を視聴しているユーザーが、動画にコメントを投稿した他のユーザーと、
動画を見ている体験・感覚を共有できるのだ、という指摘です。


しかし、本来、ニコニコ動画の基盤の性質は「動画投稿サイト」であり、
その基本的な構造はvlog(ビデオブログ、videopodcasting)を組み替えたものとしても認識できるものです。
そして、このようにコンテンツをlogしてゆくタイプのサービス*1においては、
通常、「視聴者」側からみた利便性や訴求性についてではなく、
まず「投稿者」側からみたそれについて語られるのが、常であるように思うのです。
ところがニコニコ動画に関しては、それについて「視聴者」側の面から語られていることが多くはないでしょうか。


僕は、その一因として、動画上を流れるコメントの、
あの視覚的なインパクトの強さを挙げることができるのではないか、と思います。
あのインパクトによって、「ニコニコ動画に多くの視聴者が集まっている」、
ニコニコ動画に多くの視聴者が魅了されている」という印象は、おそらくかなり強まりました。*2
そのため、多くの論者は自然にそこに目を付けて、
ニコニコ動画の視聴者は何故ニコニコに集まるのか、という考察をするに至ったのではないかと。
もちろん、それは一因に過ぎなくて、投稿者のアップロードリストに関する仕様や、
視聴者のために用意された豊富な機能の存在なども、重要なポイントだと思うんですが……。

*1:ブログとか、ついったーとか、たんぶらーとか

*2:それに実際、ニコニコ動画の視聴者人気は目を見張るものだったと思います