デイリーランキングとホットリストの間がない、というのが問題なのでは。

 マイリストランキングの改変に対して続々と声が上がっています。「改悪だ」と。

 この声、わからないでもありません。
 自分の動画がランキングに少しでも入れば、動画制作者はその動向を逐一見守りたくなるものです。動画制作者ならずとも、その動画の熱心なファンであれば。また、ランキングをメインの情報源にしているニコ廚にとっては。
 しかし、それはかなわなくなってしまいました。
 いままで一時間ずつ動いていたランキングが、一日に一度しか動かない。
 そして、新しく導入されたホットリストは、ランキング形式ではなく、常に動き続けるので「ランキング入り」ほどの価値を持たない。

 個人的には、次の月曜更新の週間ランキングが出るまでは、意見を保留したい気持ちもあったりするのですが、とりあえず現時点での意見としては二つあげることができます。

  1. 一日中、ないしは、一日に数度にわたってランキングの動向を確認したい、という人のために、「デイリー」のひとつ下に、一時間ごとの集計結果を挙げる「時間」ランキングを用意してはどうか。*1
  2. デフォルトは「デイリー」にし、毎週月曜のみ「週間」、毎月一日のみ「月間」に変えてはどうか。


 めまぐるしい真性同期的な流行が、新規ユーザーの参入を阻むという、改変導入の理由についてはわかります。同意できます。しかし、やはり先にあげたランキングカテゴリの実装などによって、それらはおそらく改善できるかと思われます。*2
 また、その改善のために、ランキングに関わっているような熱心なユーザー層、動画制作者層の支持を失うことは、運営にとってあまりよろしくないことなのではないでしょうか。
 時間単位での更新を気にしている程度のヘビーユーザー層、この層はやはり重要です。
 デフォルトでなくとも、彼らのための、時間更新されるランキングは存続させたほうがよいのではないでしょうか。
 真性同期的な人気の共有手段として、ホットリストが導入されていますが、しかしこちらはあまりにも更新頻度が高すぎます。共有はまずもって不可能という印象しか受けられません。成績を楽しみ人気を共有する従来のランキング的な喜びを得ることは出来ないでしょう。少なくとも、常に変動し続けるため、コメントで「なんでこれが上がってるんだwww」みたいなコメントによる評価感情の共有は出来ないわけですよね。気まぐれ検索のような使い方としては重宝するかもしれませんが、しかし、やはり「時間ごとのランキング変動」の代替物としては機能しないでしょう。

 僕は「改悪」とは言い切れないのが本音で、むしろデイリーまとめての集計結果を発表するという方法そのもの自体はそう悪くないものだとは思っています。しかしそのために一時間間隔でランキングの動向を気にするユーザー層を失うことはあまり懸命ではないと思います。

 特に、いま、世間は夏休み真っ盛り。
 学生のニコ廚は、一日中ニコニコ動画に貼りついていたりもするでしょう。
 そのような時期的な要因も含めても、いま、彼らのようなユーザー層への配慮は欠かしてはならないものだと思われるのです。

 しかし「早急な改善を求める!」などとも言いがたい、と思わされることもあります。
 ニコニコミュニティや生放送、ニコ割りアンケート、ニコニコモンズ、アニメチャンネルなど多くの仕事を抱える中、運営はいま人手が足りていないのではないか、という気がするのです。ニコニコミュニティをよく利用しているのですが、最近は不具合によく遭遇します。開発者ブログなどからも、なんかいまめっちゃ忙しいんですよすみません、というそんな疲れた息遣いが聞こえてきそうです。

 夏野さんが運営に加わり、「黒字化」を目標に掲げて、様々な取り組みを行っているのはわかります。ニコニコ動画の黒字化は確かに重要なことだと思います。
 ですが、どうにも、そのような焦りが運営において表面化しているのではないか、と邪推せざるを得ない、というのが外側から見ている人間の正直なところです。
 もしかしたら運営側としてはいやいや「計画通り」だったりするのかもしれませんが……。

 長期的な戦略として、今回の改変、どのような効果をもたらすと見通されているのでしょうか。

 ニコニ・コモンズの方針やニコ割アンケートなどは、個人的にはかなり評価の高い試みで、運営の先見性、とても明確で信頼でき、魅力的だと思っています。
 しかし、今回の改変の件については、運営側として何を目論んでこの改変に踏み切ったのか、この改変がもたらす変革を運営はどれほど正確に判断できているのか、僭越ながら疑問です。

追記: これを書いた後に、運営はランキングを不便にすることによって、ユーザーをランキングから離れさせたいのかもしれない、と思った。動画を自力で探させること、それがもしかしたら実際のところユーザーのヘビーユーザー化を促すのかもしれない。不便にすることで、逆にユーザーを分散させ多様化させることを狙ってる、という考え方がありそうだ。むしろ底辺Pの救済につながるかもしれない。これに気付いて、なるほどと思った。ただやっぱり、ユーザーからの苦情は必然でしょうね。

*1:それともアワーリィ、という言い方のほうがいいかな

*2:http://d.hatena.ne.jp/masahiro86/20080727/1217189700