キャスミー まにぁな放送局 ON WEB

 先日、試験公開に踏み切ったRSSプレイヤーポータルサイト、キャスミー。

 キャスミー まにぁな放送局 ON WEB
 http://www.casmy.com/

 キャスミーはRSSリーダーならぬ、RSSプレイヤー。
 そしてそのプレイヤーに簡単に番組(RSS)を登録できるしくみをもったポータルサイトです。

 プレイヤーはビデオキャストやポッドキャストRSSを読んでくれます。Youtubeにも対応しています。登録している好きな番組が更新されたら、自分のプレイヤーの新着にあがってくるという仕組みです。とりあえず僕はロケットブームだけ登録しています。今後、おそらくブログパーツとして使えるようになる(はず)!

 ちなみに、残念なことに、現在はまだニコニコ動画には対応してません。

RSSの〈enclosure url〉内に映像ファイルまたは音声ファイルが存在していること。

 ニコニコのマイリストはこれを満たしてないですからね。是非どうにか対応に向けて頑張って欲しいところです。
 ていうか、マイリストじゃなくても、ニコニコ動画で、自分の制作した動画一覧のRSSを吐ければ良いのになあ。それが出来ないのはニコ動側にさせたくない理由でもあるのかな。……そういえばニコ動の外部ビデオキャストって作れないんだろうか。

 とりあえず、キャスミー試験公開おめでとうございます。

 実はこのキャスミーの制作、以前は、僕もメンバーだったのです。僕が打ち込んだあれやこれやも、役に立っている模様、たぶんおそらく。一橋大の部室で、あーだこーだと間瀬さんたち*1と一緒にキャスミーの原型を作ってたのが、二年生の頃*2。懐かしい!色んな動画サイトのRSSを読んで再生できるRSSプレイヤーのブログパーツを作ろう! ということで、頑張ってた夏を思い出します。

 キャスミーが会社になる、社員になるか、って段になり、まあ、色々考えることもあって、未熟な僕は抜けさせてもらったのですが、僕が抜けた後も制作は進められていた模様。当初の予定よりかなり遅れてはいますが、無事に試験公開を迎えられたようで、何より。ここからひっそりと応援したいと思います。

 しかし「まにぁな放送局 ON WEB」っていうキャッチコピーはどうしてついたんだろうwww 僕がいたときはなかったよなー。
 なにはともあれ、みんなもキャスミーつかってあげてください><

 追記:長野の帝王の番組が見られるよwww

*1:間瀬さんはキャスミーの代表。

*2:二年前?かな。

ニコニ・コモンズに“Share on Tumblr”の手軽さを期待する

 ニコニ・コモンズについて
 http://www.nicovideo.jp/static/niconicommons/rule.html


 上記の公式アナウンスを受けて、僕は真っ先に連想したウェブサービスがあります。

 そのサービスとは、“Tumblr.”です。

 Tumblr.は“Webスクラップ帳”などとも表現されて広く知られるウェブサービスです。このウェブサービスが話題を集めるにいたった、その魅力のひとつに、“Share on Tumblr”というブックマークレットの存在が挙げられます。これを利用することで、ユーザーはウェブ上で発見したお気に入りの画像などを、数クリックの手軽な動作だけで自分のページに投稿することが出来ます。画像を選択してクリック→投稿、文章をドラッグ選択してクリック→投稿。また、このサービスのさらに秀逸な点は、その手軽さに加えて、転載投稿内容をTumblr.サイドで最適な形式で判断し、分類した上でpost(投稿)してくれるという機能にあります。その分類とは、以下の6つ。

 このサービスの手軽さは実際にやってみればわかります。日本語版のサービスは確かまだリリースされていませんが、ぐぐれば使い方の日本語解説等がいくつかヒットしますので、利用したことのない人は試してみればよいと思います。

 なぜこのTumblr.をニコニ・コモンズから連想したのか。それは、僕がTumblr.のクリッピング行為をMAD製作の行為と重ね合わせているからです。一次創作物である複数の画像やオーディオ・ファイルを繋ぎ合わせ、自分のタンブルログを完成させる。完成物は動画ではありませんが、この手法はMADと非常によく似ていると思います。Tumblr.は一種の二次創作性を持っているのです。

 ニコニ・コモンズは二次創作行為を推進するシステムです。つまり、Tumblr.の機能やその成功は、ニコニ・コモンズを便利なものにする上で、参照に値するものだと言えるのではないでしょうか。

 僕は、上記を踏まえて、ニコニ・コモンズには以下のような機能があればよいと思います。

  1. ニコニ・コモンズに素材をアップロードすると、ファイル形式によって自動的に最適な分類に分けられる。
  2. ニコニ・コモンズにアップロードされた作品をダウンロードすると、同時に、ニコニコ動画のマイページにその情報が記録される。
  3. SMILEVIDEOへ動画を投稿する際に、使用した素材をマイページからセレクトして、使用形態とともに申告できる。
  4. 使用形態は可能性の高いものがデフォルトで選択されている。
  5. 二次創作物のアップロードがなされると、一次素材のアップロード者に、素材使用報告が通達される。

 そして、ニコニ・コモンズのサーバにおいては、以下のような素材の分類があれば良いと思います。*1

  • 画像
  • 音声
  • 動画
  • 文章
  • プログラム/ソフトウェア

 さらに、使用形態は以下のように分類されればよいのではないかと思います。

  • 画像の利用(改変なし)
  • 画像の改変利用
  • 音声の利用(改変なし)
  • 音声の改変利用
  • 動画の抜粋
  • 動画の参照
  • 動画の改変利用
  • 文章の抜粋
  • 文章の参照
  • プログラム/ソフトウェアの使用

 Tumblr.と同じように、使用した素材に応じて投稿形式があらかじめ選択されていると便利です。
 つまり、音声ファイル素材の使用ならデフォルトは「音声の利用(改変なし)」になっているということです。もしリミックスなどを施した場合は、申請時に「音声の改変利用」をセレクトすればオッケー。
 動画ファイル素材の使用ならデフォルトは「動画の抜粋」。抜粋ではなく、たとえば音声部分のみを使っているのであれば、「音声の利用(改変なし)」をセレクト。動画のストーリーなどを改変した二次創作なら、「動画の参照」。
 文章ファイル素材の使用ならデフォルトは「文章の抜粋」。抜粋ではなく、たとえば、「投稿された小説をアニメ化してみた」「投稿された学術的な内容の文章を映像解説にしてみた」などというものであれば「文章の参照」。
 プログラム・ソフトウェア素材の使用ならデフォルトは「プログラム・ソフトウェアの使用」。これはMikuMikuDanceVocaloidDS-10のようなソフトやプログラムを想定しています。この場合はおそらくデフォルト以外をセレクトすることは少ないでしょうが、ゲーム画面や音声の改変利用等は考えられますね。

 また、ニコニコムービーメーカーには、素材のダウンロードなしに、クリップして素材を簡単に貼り付けられる機能などの搭載も期待したいです。

*1:サービス開始時では、画像、音声、動画のみ対応とのこと

デイリーランキングとホットリストの間がない、というのが問題なのでは。

 マイリストランキングの改変に対して続々と声が上がっています。「改悪だ」と。

 この声、わからないでもありません。
 自分の動画がランキングに少しでも入れば、動画制作者はその動向を逐一見守りたくなるものです。動画制作者ならずとも、その動画の熱心なファンであれば。また、ランキングをメインの情報源にしているニコ廚にとっては。
 しかし、それはかなわなくなってしまいました。
 いままで一時間ずつ動いていたランキングが、一日に一度しか動かない。
 そして、新しく導入されたホットリストは、ランキング形式ではなく、常に動き続けるので「ランキング入り」ほどの価値を持たない。

 個人的には、次の月曜更新の週間ランキングが出るまでは、意見を保留したい気持ちもあったりするのですが、とりあえず現時点での意見としては二つあげることができます。

  1. 一日中、ないしは、一日に数度にわたってランキングの動向を確認したい、という人のために、「デイリー」のひとつ下に、一時間ごとの集計結果を挙げる「時間」ランキングを用意してはどうか。*1
  2. デフォルトは「デイリー」にし、毎週月曜のみ「週間」、毎月一日のみ「月間」に変えてはどうか。


 めまぐるしい真性同期的な流行が、新規ユーザーの参入を阻むという、改変導入の理由についてはわかります。同意できます。しかし、やはり先にあげたランキングカテゴリの実装などによって、それらはおそらく改善できるかと思われます。*2
 また、その改善のために、ランキングに関わっているような熱心なユーザー層、動画制作者層の支持を失うことは、運営にとってあまりよろしくないことなのではないでしょうか。
 時間単位での更新を気にしている程度のヘビーユーザー層、この層はやはり重要です。
 デフォルトでなくとも、彼らのための、時間更新されるランキングは存続させたほうがよいのではないでしょうか。
 真性同期的な人気の共有手段として、ホットリストが導入されていますが、しかしこちらはあまりにも更新頻度が高すぎます。共有はまずもって不可能という印象しか受けられません。成績を楽しみ人気を共有する従来のランキング的な喜びを得ることは出来ないでしょう。少なくとも、常に変動し続けるため、コメントで「なんでこれが上がってるんだwww」みたいなコメントによる評価感情の共有は出来ないわけですよね。気まぐれ検索のような使い方としては重宝するかもしれませんが、しかし、やはり「時間ごとのランキング変動」の代替物としては機能しないでしょう。

 僕は「改悪」とは言い切れないのが本音で、むしろデイリーまとめての集計結果を発表するという方法そのもの自体はそう悪くないものだとは思っています。しかしそのために一時間間隔でランキングの動向を気にするユーザー層を失うことはあまり懸命ではないと思います。

 特に、いま、世間は夏休み真っ盛り。
 学生のニコ廚は、一日中ニコニコ動画に貼りついていたりもするでしょう。
 そのような時期的な要因も含めても、いま、彼らのようなユーザー層への配慮は欠かしてはならないものだと思われるのです。

 しかし「早急な改善を求める!」などとも言いがたい、と思わされることもあります。
 ニコニコミュニティや生放送、ニコ割りアンケート、ニコニコモンズ、アニメチャンネルなど多くの仕事を抱える中、運営はいま人手が足りていないのではないか、という気がするのです。ニコニコミュニティをよく利用しているのですが、最近は不具合によく遭遇します。開発者ブログなどからも、なんかいまめっちゃ忙しいんですよすみません、というそんな疲れた息遣いが聞こえてきそうです。

 夏野さんが運営に加わり、「黒字化」を目標に掲げて、様々な取り組みを行っているのはわかります。ニコニコ動画の黒字化は確かに重要なことだと思います。
 ですが、どうにも、そのような焦りが運営において表面化しているのではないか、と邪推せざるを得ない、というのが外側から見ている人間の正直なところです。
 もしかしたら運営側としてはいやいや「計画通り」だったりするのかもしれませんが……。

 長期的な戦略として、今回の改変、どのような効果をもたらすと見通されているのでしょうか。

 ニコニ・コモンズの方針やニコ割アンケートなどは、個人的にはかなり評価の高い試みで、運営の先見性、とても明確で信頼でき、魅力的だと思っています。
 しかし、今回の改変の件については、運営側として何を目論んでこの改変に踏み切ったのか、この改変がもたらす変革を運営はどれほど正確に判断できているのか、僭越ながら疑問です。

追記: これを書いた後に、運営はランキングを不便にすることによって、ユーザーをランキングから離れさせたいのかもしれない、と思った。動画を自力で探させること、それがもしかしたら実際のところユーザーのヘビーユーザー化を促すのかもしれない。不便にすることで、逆にユーザーを分散させ多様化させることを狙ってる、という考え方がありそうだ。むしろ底辺Pの救済につながるかもしれない。これに気付いて、なるほどと思った。ただやっぱり、ユーザーからの苦情は必然でしょうね。

*1:それともアワーリィ、という言い方のほうがいいかな

*2:http://d.hatena.ne.jp/masahiro86/20080727/1217189700

「ランキング」カテゴリがあればいいんじゃないか−ニコニコ動画のカテゴリについて

「ランキング」カテゴリが欲しいです

 ニコニコ動画のマイリストランキングをめぐって様々な意見が出ています。その中で、ランキングを見ているのはライトユーザーだろう、といったような意見が出ていますが、実際その傾向はあるだろうな、と僕も思います。ライトユーザーはトップページからマイリストランキング辿るだけで、たぶんそんなにそれからタグ検索とかには走らない。*1ただ、タグ検索やまとめサイトなどを活用して自分の好きなジャンルの動画を探すヘビーユーザーの多くは、ランキング的なものを求めていないのか、というと、別にそういうわけではない、と思います。やっぱり、数字は参考になる、ランキングは気になる、と思ってる人が、ヘビーユーザーの中でも大半なんじゃないかなと。
 で、僕もランキングというシステムはわりと好きです。
 僕の場合は「VOCALOID」が好きなジャンルのうちのひとつなのですが、有志のユーザーが制作した「ランキング動画」なるものがあって、この系統の動画はかなり重宝しています。なんせボカロはニコニコ動画を代表するジャンルだけあって、動画数がとにかく多い。さすがに全部を毎日チェックはできない。時間のあるときは自分の好きなボカロの動画ぐらいはおさえられるけど、でも、全部はさすがにできない。そういうときにこういうランキング動画があると、かなり参考になるわけです。
 でも、残念ながら、好きなジャンルの動画すべてにランキング動画が用意されているわけじゃありません。
 ボカロや東方、アイマスみたいにかなり長期的なブームになっているジャンルならまだしも、そうでないものだと、現状ではランキング動画ってなかなか作られにくいのですよね。
 だからそういうランキング動画の制作を誘発するものとして「ランキング」カテゴリなるものがあってもいいんじゃないかと。

カテゴリを流動的に増やしたり減らしたりして欲しいです

 僕は、ランキングの件に限らず、カテゴリはもっと増えたり減ったりしていいんじゃないかなあ、と思っていたりします。
 実験的に色んなカテゴリを作られていいんじゃないかなと。
 カテゴリが増えすぎるのはどうかという人もいるけれど、カテゴリなんてつまりはタグの形式の問題で、別にタグそのものが増えるわけじゃないし。今あるタグが昇格しようというだけなんだし、別にいいんじゃないかと。そりゃ勿論、レイアウトは見やすくするべきですけれど。
 注目のタグを見れば分かるのですが、たとえば「VOCALOID」なんて、「日記」タグやら「政治」タグなんかよりも明らかに人気があるわけですよ。なのにカテゴリにはなってない。権利関係もあるかもしれないとはいえど、やっぱ、もうちょっとこのへん考えられてもいいと思うのです。
 ちなみに僕個人としてボカロファン的には「VOCALOID」がカテゴリになったら嬉しい*2

 たしかに、ユーザーの声にだけあわせてタグをカテゴリに昇格させるのは、運営としてはあんまり賢くない気もします。
 それこそ、タグ人気があるからといって「作業用BGM」やら「Part1リンク」やらなんてのをカテゴリに昇格させたりすることは、いわゆる権利者にとって最も有害なタイプの「著作権侵害コンテンツ」を誘発することに他ならないでしょう。

 ただ、実験的にカテゴリの増減を試みることは決して悪くないことだと思います。
 たとえば、現在、存在している固定カテゴリのほかに、実験的な「流動カテゴリ」というポジションを作ってみてはどうでしょうか。
 月イチくらいで見直して、そのときどきのユーザーの声なんかを反映させて設置するカテゴリ。
 カテゴリって、コミックマーケットのジャンル・コードに少し似ているよなあ……と思うのですが、コミケのジャンルコードは毎回流行や参加者の傾向にあわせて見直しを行っているようです。そういうふうに、ニコ動のカテゴリも定期的に見直されて、流動的に変化したりするものだ、っていう認識がユーザーの中にあったほうが、運営側としてもやりやすい気がするのです。最終的には図書館みたいにガチで分類されていくといいなあ。
 まあそれはともかく、もっと頻繁にカテゴリは見直していったほうが、いいんじゃないかなあと。

僕がほしいなと思うカテゴリ

 ちなみに僕が流動的にでも取り入れてほしい!と思っているカテゴリは、「ランキング」のほかにあげるなら「実況」や「お笑い」あたりですかね。あとはなんといっても、「ニコニコノベル」(ないしは「文字を読む動画」)です。「文字読みボーカロイドリンク」「iM@S架空戦記シリーズ」なんかでの盛り上がりからも分かると思うのですが、文字や物語で表現したいと思っているクリエイター層はものすごく多いし、動画表現が主であるところのニコニコ動画でも、それは同様です。これは今後、確実に重要になる新しいコンテンツの宝庫であると僕は断言できます。
 カテゴリを実装させることは、それらの後押しになるのではないかと思えるのです。
 
 ところで、他の人はどんなカテゴリがほしいと思ってるんでしょうか。気になるところです。

追記(7/30)

ランキング動画制作者からの本音を発見↓
http://blog.goo.ne.jp/rankingloid/e/f467c62e38b923a1bfe4e58d6d5380e7
http://d.hatena.ne.jp/rankingloid/20080729/1217353850
運営に対する不信感が結構強い。でもこういう人を味方につけていくべきですよ。

*1:まあ、もっとライトなユーザーは、友達にmixiとかで紹介された動画くらいしかみてないでしょうけれど。ここでいうライトユーザーは、いわゆる「見る専」ニコ厨のことです。

*2:ボカロカテゴリが出来たら、いまあるボカロランキング動画の立場がなくなるじゃないか!っていう意見はあるかもしれないけど、それは杞憂だと思う。ユーザーのつくるランキング動画は、カテゴリが出来て公式ランキングが出来たくらいじゃ廃れたりしないですよ。

まあニコ動ユーザーなんて普通にめちゃめちゃアクティブですよ

ちょっと無駄に長いエントリになってしまいました。

ニコ動を支えていたのはコメント機能でも違法動画でもない……?

ニコ動を支えていたのはコメント機能でも違法動画でもない
http://d.hatena.ne.jp/nishink/20080724

 上記エントリで指摘の通り、マイリストランキングは、ニコニコ動画のもっとも面白いもののひとつです。単純に考えて、マイリストランキングは、はてなホッテントリと同じ。基本はSBM。
 ですので、上記のエントリにおける主張が持つ感覚には、基本的には同意します。
 ただ、もうすこし整理して考えられるのではないかと思いました。コメント機能は一面的な見方で見下されるべきではないです。あと、違法動画によってニコニコ動画の土壌が形成されたこともまた事実。これを踏まえて、自分なりに、このニコニコ動画にまつわる価値を整理してみることにしました。

ニコニコ動画を支えている価値の重心は常に変化してきた

 上記エントリの大きな瑕疵のひとつは、ニコニコ動画における価値の重心、その移動を無視してしまっていることです。
 まあ、無視しているというのは言い過ぎで、記述者本人としては単に省略しているだけなのでしょうが、ブクマで色々とコメントが気になりましたので、その点を整理してみたいと思います。

 まず違法動画。言い換えると、権利侵害コンテンツ。これは、ニコニコ動画を確実に支える一因であったと思います。特に黎明期においては(残念ながら僕はそのころのニコニコ動画を知らないのですが)、豊かな独自コンテンツを生成するにいたるまでのその土壌として、権利侵害コンテンツは明らかに重要な機能を果たしました。ただし、ニコニコ動画が成長するに従い、その成長にとって権利侵害コンテンツの価値は「相対的に」低下していった、と判断することが出来ます。権利侵害コンテンツがニコニコ動画を支えて「いた」ことは確実です。そしてまだいまも、黎明期ほどではないながらニコニコ動画を確実に支えています。

 次に、コメント機能。しばしば擬似同期的と表現される、この「動画のタイムライン上にコメントを書き込める」コメント機能は、やはりこれもニコニコ動画を確実に支える一因であったし、今でもそうだと思います。しかしコメントの「書き込み」機能については、相対的にみて、価値の下がってきている機能であるといえるでしょう。この機能を抱える後発のサービスが次々と誕生したためです。いまや、コメント機能そのものはニコニコ動画のみが持ちうる独自の機能と言うことはできません。コメント機能そのものの絶対的な価値は下がっていませんが、相対的に見るとその機能自体の価値は低下しているのです。ただし、それはあくまで「書き込み」についての面。それはあとで触れるとして……

 上記の二点「のみ」を踏まえると、コメント機能を備えた後発のサービスや、削除要請を受けることの少ない海外系動画共有サービスが、ニコニコ動画と同様に、あるいはそれ以上にユーザーの欲求に応えられる、ということになってしまいます。しかし、それは勿論違います。後発のサービスや、海外系のサービスは、日本においてはただそれだけではニコニコ動画には勝てません。

 それはニコニコ動画がハブメディアとしての価値、つまり、豊富なユニークコンテンツと圧倒的なアクティブユーザー数を獲得することに成功してきたからに他なりません。これは、上記エントリで評価されている、マイリスト機能が有する価値でもあります。

例えば、zoomeとニコニコ動画を比較してみる

 zoomeにはニコニコ動画から転載された動画がいくつも存在します。また、マイリストに対応してマイクリップという機能があり、そのランキングも実装しています。*1
 しかし見てみれば分かるように、両者の動画コメントおよびランキングの面白さ、この違いは歴然です。
 その差は、それぞれ「その動画に新しいコメントが集まっているかどうか」「そのランキングで新しい人気が分かるか」にあります。
 先ほども述べましたが、ニコニコ動画とzoomeのコメントシステムは「擬似同期的」としばしば表現されます。後からやってきたユーザーが、先に視聴したユーザーが残したコメントを擬似的なリアルタイム感覚で楽しめるようになっているのです。その点では、ニコニコ動画とzoomeには差はありません。むしろ、その点だけで論じるならコメントの装飾機能が充実しているzoomeのほうがより楽しめ、充実しているとさえ言えます。
 ただ、重要なのは、擬似同期の楽しさは、真性同期の楽しさに勝てない、ということです。
 両者におけるコメントをつけにくるアクティブユーザー数の差は圧倒的です。
 ニコニコ動画における人気の動画では、zoomeにおける人気の動画よりも、より真性同期的な*2空間の共有が出来るのです。*3
 また、ランキングでもその圧倒的なマイリストユーザー数の違いから、「いま」(ないしは今日)多くのユーザーが支持している動画が分かるようになっています。
 これは「ニュース性」と言い換えることもできる、真性同期の楽しさです。

 ユーザーがリアルタイムで集まっていない動画では、コメントを擬似同期的に楽しむことができます。この点ではzoomeもニコニコ動画も同じです。ただし、ニコニコ動画には、それに加えてリアルタイムでコメントを楽しめる動画がいくつもああります。定期的にリアルタイムな人気によって変動する旬のランキングがあります。
 そして、その真性同期を支えているのは、コメントやマイリストにおける、その圧倒的なユーザー母体数の差です。

機能としてのコメント(to write)よりも、コメントそのものの質・量(to watch)がニコニコの財産

 ユーザー数の2割がコメント機能のアクティブユーザーだと元エントリでは説明していますが、この数字を基にすると、あくまでコメント「書き込み」機能を必要とするユーザー数の割合しか割り出されません。
 ブコメでも指摘されていますが、コメント機能は「書く」ユーザーよりも「見る」ユーザーのほうが圧倒的に多いです。
 そしてニコニコ動画の人気そのものを考えるのなら、重要なのは「見る」ユーザー。再生数。
 つまり、ニコニコ動画の人気においてコメントの重要性を論じるならば、書き込み機能のユーザー数よりも、見るコンテンツとしてのコメントそのものを必要としているユーザー数の割合を求めるべきなのです。まあ、もしそれを求めるならば、再生数に対する「コメントを表示した状態での視聴再生数」を計算しなくてはなりませんので、「データないです><」というオチになりますけれども。

 ただ、たぶんどんなに少なく見積もっても7割は越えてるでしょう、というのが僕の見解です。
 つーか計算なんかしなくても、ニコニコのユーザーなんてどう考えてもめちゃめちゃアクティブなほうでしょjk
 見てたらそれは明らかに感じられるし、それに2割って普通にでかい

結論

  • 「ニコ動を支えていたのはコメント機能でも違法動画でもない」と言うのはちょっと乱暴だよね!
  • 違法動画みたい人ばっかりなら他のサービスにざくざく人が流れるはずだけど、そうでもないねー
  • コメントシステムには、二つの側面があって、書く機能としてのコメントの価値は今となってはユニークなものじゃないかも。
  • だけど、読むコンテンツとしてのコメントの集積はニコニコ動画の圧倒的な強みじゃない? 日本語のコメント集積の価値を考えたらその点ではようつべにも負けない
  • 圧倒的なユーザー数が支えるコメントやランキングでの「リアルタイムな盛り上がり」がすごいよ
  • ところでドイツスペイン進出は正解だと思うよ。あとイタリアも欲しい
  • マイリストランキングが持つ価値は、ニコニコ動画における重要な要素だけど、その重要性を強調するためにコメント機能そのものや、権利侵害動画が、ニコニコ動画を未だ支えている大きな因子である現状を否定してしまうのは、なんかなー
  • マイリストランキングの面白さはSBMの面白さと同じ構造だってことは常識だと思ってたよ
  • zoomeスペック弱すぎ。どうやって勝ち上がるつもりなのかなー
  • ニコニコモンズにwktk
  • UIの話はまた今度
  • ランキングを面白くするには……! という話もまた今度
  • なんか読みにくいね俺の文章

 参考エントリ:ハブメディアっていう言葉はもっと広まっていい
 http://d.hatena.ne.jp/masahiro86/20080613/1213402336

*1:これはひどい

*2:擬似的ではないリアルタイム的な

*3:読みづらいので書き直しました

もし、ニコニコ動画が黒字化したら−「かまいたちの夜」新作妄想ニュース

 もしニコニコ動画が黒字化したらこんなことも出来たりするんじゃないかと妄想して嘘ニュース記事を作成してみた。

ニコニコ動画版「かまいたちの夜」最新作リリース、ユーザーがシナリオを追加できるシステム

 5日、株式会社ニワンゴ、株式会社ドワンゴ、株式会社ゲームズアリーナ、株式会社チュンソフトは、国内最大手の動画サイト「ニコニコ動画(ββ)」において、人気サウンドノベルシリーズの最新作となる「かまいたちの夜×ββ 〜白夜叉伝説と魔術列車」を発表した。また、同作品の配信手法として、「ニコニコノベルゲーム」の概要を明らかにした。
 ストーリーは、「かまいたちの夜」の世界観をベースとした我孫子武丸氏監修による完全オリジナルストーリーで、公式第1弾としてリリースされた「迷い唄編」は、会員登録をしていれば無料でプレイすることが出来る。また、本作で使用される音楽やグラフィックなどの素材はニコニ・コモンズにより、ユーザーによる二次創作用の素材としてすべて公式に提供される。
 本作がこれまでと決定的に異なる点は、この公式素材を利用して、ユーザーが独自の分岐を作成できる点だという。
「本作はこれまでと同様、ゲームプレイ中に現れる選択肢によって、ゲームの進行・結末が大きく変化するマルチストーリー、マルチエンディング方式を採用しています。ただし、本作では、公式に用意された選択肢のほかに、ユーザーが二次創作として新たな選択肢、物語を創作することが可能になります」
 プレミアム会員であれば、同時リリースされた「ニコニコノベルメーカー」を利用し、表示させたいグラフィックや流したい音楽を選択し、文章を入力するだけで簡単に独自のシナリオを作ることが出来る。さらに、ゲームプレイ中に現れる分岐画面で「選択肢を追加する」をクリックし、自身がアップロードしたシナリオのID(ニコニコノベルメーカーを利用してアップロードしたシナリオにはns2525のようにIDが割り振られる)を入力するだけで、自信の製作した新規のシナリオへの選択肢を簡単に追加できる。公式の本編だけではなく、自分や他のユーザーが制作したシナリオに分岐を加えることも出来るため、ユーザー間でシナリオ制作の連鎖が生まれる可能性がある。
 また、同社の運営するニコニコミュニティ上には公式のコミュニティが用意され、今後、プレミアムユーザーでしか体験できない「プレミアムシナリオ」などを提供する予定もあるという。
「シナリオは既にラストまで用意されていますが、プレイヤーの反応やプレイヤーが制作した二次制作物などを踏まえ、シナリオやエンディングを追加で用意していくなどの展開も考えています。過去の『かま夜』シリーズでもホラーやミステリーからかけ離れたふざけたような選択肢などがありましたが、そういったものなどがユーザーの皆さんの中から現れたりすると面白いですね」
 通常のニコニコ動画同様、ゲームプレイ中にはコメントを画面に書き込むことも出来るため、プレイ中に他のプレイヤーのコメントを読んでプレイの参考にすることもできる。また、何人がその選択肢をクリックしたかを知ることも出来るため、まったく新しいサウンドノベルの体験が可能になるだろう。
 さらに、公式第二弾の「数え首編」ではニコニコ生放送を利用し、参加者の多数決でシナリオが変化する手法を採用するなどの画期的な試みを用意していることも明かした。

  • -

 以上、妄想でした。(っていうか中の人はこういうこと考えてるでしょ、と思ったりしている)
 チュンソフト*1ってドワンゴの子会社(ゲームズアリーナをはさんでるから孫会社?)なんですねー。ニワンゴでもケータイ版のかまいたちの夜やってるし。*2
 サウンドノベルでユーザークリエイターが選択肢を追加できるシステムって面白いと思うんですよね。公式二次創作。シナリオの二次創作だけじゃなくて、実況プレイ動画だったり「音読してみた(声を当ててみた)」だったり、色んなのが盛り上がると良いね。他のアニメのキャラクターを登場させたりとか。釣りの選択肢とか空気読めないコメントも出てくるだろうと思うけど、それはそれで面白いと思うし。そういうのがウザいと思う人はコメント切ってみたり、公式の選択肢だけ読めばいいし。オンラインノベルゲーですね。
 コミュニティを利用して内輪だけでプレイしたりするのも楽しいかも。

*1:428のためにWiiが欲しい

*2:……かまいたちみたいなミステリーものより、ギャルゲーっぽいもののほうが受けるのかもしれないけど、俺はこういうゲームのほうが好き。

ニコニコ動画(ββ)に期待したい5つの進化

 ニコニコミュニティ、ニコニコモンズが登場したニコニコ動画(夏)。ニコニコミュニティに関してはかなり準備不足のままリリースしてしまっていて、正直残念なところはあるのですけれど、コミュニティの設置自体に関しては大賛成です。どのコミュとは言いませんが、僕も現時点でレベル15前後のコミュを2つほどつくりました。これからの発展が超楽しみですね。
 さて、このニコニコ動画(夏)の発表を受けて、その次の段階である、ニコニコ動画(ββ)に期待したい5つの進化を考えてみました。

(1)ニコミュランキング(ニコニコミュ二ティ被投稿数ランキング)
 その動画がいくつのコミュニティから、どれだけの規模のコミュニティから支持(投稿)を受けているかを示すランキングです。
 具体的に言うと、レベル10のコミュニティとレベル5のコミュニティの2つのコミュニティで投稿された動画は、レベル10+レベル5で「ニコミュ被投稿数15」。より大規模なコミュニティからより多くの投稿を受けた場合、ランキングの上位に表示。
 これによってコミュニティ自治を促すことも可能かと思われます。また、レベルが重要な価値になるため、さらにプレミアムの価値は高まります。
 [この動画を登録しているマイリスト]の横か下に、[この動画が投稿されているコミュニティ]を追加するといいですね。スペースちょっと厳しいけれど。

(2)ニコニコスピーチブックメーカー(「文字を読む動画」作成機能)
 現行のニコニコニュースメーカーをさらにパワーアップさせてほしい、という要望です。現在、文字を入力するだけで簡単に動画が作れてしまうニコニコニュースメーカーですが、よりシンプルでかつ高機能にしたものがほしいです。ニュースに限定せず、自作の小説などを投稿したいと思ったので、文章を読み上げる本のような意味合いで「スピーチブック」。ニコニコスピーチ機能とも組み合わせたいですね。
 これによってきっと「文字を読む動画」「ニコニコノベル」界隈が面白くなりますね。

  • 棒読み男などのキャラクター画像などをOFFにできる
  • 文字の色を選べる
  • 背景画像などを自分で設定できる(設定した画像の引用元などはニコニコモンズで明記させましょう)
  • 投稿した文章を大百科の「動画解説」に自動投稿できる
  • もっと長文を投稿できる
  • 誤読を手動で訂正できる
  • 投稿前に動画の動作確認をできる

 個人的には、もし有料でも実装されれば絶対に買います。
 ていうか中の人になれるなら今すぐにでも作りたいこの機能。

(3)投げ銭システム*1
 はてなのポイントシステムです。そのまま。
 ニコニコモンズ実装後なら、あってもいいかなと思います。
 換金できないけれど、ポイントで素材を買えるというのはどうでしょう。
 投げ銭で、応援してるPが角川の素材を買えたりするといいですよね。
 あ、「買う」じゃなくて「ゲットする」とかのほうがいいかもですが。
 ただ、はてなのにようにポイントを買わせるのではなく、会員、動画作成者、プレミアムにそれぞれ差をつけながら、撒いたほうがいいと思います。会員になったら毎月100ポイント、動画作ったら300ポイント、プレミアムに入ったら毎月1000ポイント、みたいな。

(4)ニコニコクイズチャンネル(ニコニコ独自コンテンツの拡充)
 やっぱニコニコ独自のコンテンツも充実させてほしいです。
 いまはニコニコアニメチャンネルしかないけれど、将来的には複数のチャンネルを設置して、もっともっと楽しめるようになってほしい。
 テレビ局が地デジのデータ放送で双方向サービスの提供が可能になり、クイズ番組などでこれを導入しようとしている(すでに導入している番組もある)けれど、実際のところ多大なコストがかかっているみたいです。たった4つの投票ボタンのために莫大なコスト。その点、ニコニコなら……。スクリプトを利用して、ニコニコIQテスト!みたいな感じでやれると面白いと思います。アニメに比べれば製作コストが低いですので、導入も難しくはないのではないでしょうか。チャンネルを増やすなら、次はぜひクイズで。
 最初はアニメ関連の問題を中心とかにするととっつきやすいかもしれません。

(5)生放送の充実、および一般出演者との認識・ルール共有
 生放送はめちゃめちゃ面白いので、どんどんやってほしいです。
 そして、先日の大会議のような双方向システムも非常に面白かったです。
 生放送で写った方に対する誹謗中傷が一部で問題になったりしました。実際にあれはいじめで、問題です。正当化は出来ません。いじめです*2。しかし、これからは写る参加者の方に「画面に映るとそういうことがありますよ」ということ(有名税的なもの)を認識していただくように努めてゆくべきという教訓です。テレビと一緒。いままでにもあったでしょ、こういうこと。こういうふうにできているんですよ、人って。
「いじめがおきるから生放送駄目だよ><」「ネットでつながるコミュニケーションは危険だからやめよーね><」も「いじめなんかじゃない皆楽しんでるんだ><」も両方おかしいです。今回の騒動は良くないものですし、今回のは問題点としてきちんと認識すべきで、それを踏まえたうえで双方向生放送の面白さとか可能性は大事にしたいですね。


ニコニコ動画、黒字化めっちゃ応援してます。

*1:これを書いた後でニコニコポイントを知った

*2:ただし、本人がどう思ってたかは別。あくまで、人を傷つける可能性が大いにある大勢でのネガコメと言う意味で「いじめ」。「いじり」でもあるけど、そんな言葉でネガコメってる人間が正当化されるのはやだなー。俺の場合、いじ(め)られてるオッサンかわいそー、じゃなくて、ネガコメってるやつもっとたのしくはっぴーにやろうよ><なんだよなあ